立志学舎では,自然の摂理と国家の正義と個人の自律について,皆さんと与に思考を深めたいと思っています。
自然の摂理は,万物に適用される自然界の根本規範であり,種の循環を繰り返しながら万物の和を創出する基本リズムです。
国が正義を旗印にして,自然界の根本規範と基本リズムに抗して自然界の万物の和を乱すことは,自然界に存する人類等の命の種を変化させ破滅させることにつながると危惧するところです。
国家や個人は,正義の名目で自然の摂理を変化させたり制御したりすることはできない!と明観する必要があります。
岡田武彦先生は,西洋的制物論に対して東洋的崇物論を展開されました。先生の崇物論を是非とも学んで欲しいと思います。
自然の摂理に国家の正義で反することはできず,国家の正義は人の集団内正義にすぎないことを自覚する必要があるのです。
国や国民の幸福の最大化を計ることを目的とする場合でも,その目的のために自然の摂理を制御してはならないのです。
自然の摂理は,人類や国家の利益を中心とするリズムで循環しているわけではないからです。
では,国家の正義と個人の自律とが衝突する場合に,個人の自律で国の正義に抗することを是とすることがあるでしょうか。
国家の正義が自然の摂理に反し,個人の自律が自然の摂理に適っている場合に,国家の正義に抗することを是とすることができるかどうか,皆さんに学びながら考えて欲しいと思っています。
平成28年10月31日
塾長 倉田榮喜