資本主義の中で生きるにはお金が必要ですので,第1には,お金を稼ぐ力(技術や資格等)を身につけなくてはなりません。
どのような技術や資格を身につけるかは,二度とない人生で貴方が「何を成したいか」に由るのですが,修学と修練を専らにして力をつけて稼げるようになった後,第2には,計画的にお金を貯蓄する事と使い方についての設計図を作ることが重要です。
礼記には「入るを量りて出ずるを為す」とありますが,お金を貯蓄するにはまず「入りを計りて出ずるを制す」ことが肝心なのです。
現在の世では,信用・才能・名声・地位のみならず命さえもお金で買うことができる場合があり,お金は実に使い勝手の良い社会の道具でお金を貯めておくことは人生の選択肢を拡げます。
しかし,お金が使い心地の良い社会の道具であるとしても,所有欲のみで金庫や銀行等にお金を貯め続けることを目的とすることは間違いで,貯蓄自体が悩みや身の破滅の原因となります。
また,人生で必要な人徳・品性・愛情・真実の友情・尊敬はお金で買うことはできないことを知らなくてはなりません。
二宮尊徳翁が,収入の半分で生活し残りの半分は将来と他に譲るべきである(分度と推譲)とされた趣旨を思慮すべきです。
人生の最期をどのように終えるかは,お金を持っていることよりも,命とお金をどのように他の為に使ったかで決まるのです。
結局,最重要の第3は,命のある限り必要な技量と力を磨き続けながら,他を思いやる仁心(惻隠の心)を実行する事であって,この生き方こそ人生の臨終を豊かにできる生き方なのです。
平成30年5月11日
塾長 倉田榮喜