天皇家に伝わる八咫鏡(やたのかがみ)・八坂瓊曲玉(やさかにのまがたま)・天叢雲劍(あめのむらくものつるぎ)の三種の神器は,歴代の皇位継承の標とされる皇室の宝物ですが,日本人にとって鏡や玉や劍は何かを意味しているでしょうか。
神皇正統記には「鏡」は一物をたくはえることも私心もなく萬象をてらして是非善悪の姿を明らかにするもの,「玉」は慈悲の本源であって柔和善順の徳をあらわすもの,「劍」は剛利決断の徳をあらわし智慧の本源と書かれています。
鏡や玉や劍を神皇正統記に書かれているように考えると,この三宝は人生をどう生きたらよいかも示していることになります。
鏡のように真実を歪めることなく正直に受け止めること,玉のように命を癒し傷つけないという積善の徳を有すること,劍のように難事を決断して実践する智慧と勇気を持つことを示していると考えることができるからです。
そこで,皆さんが日々に追及して身につける心身の財とすべきものは,①真実を歪みなく受け取る正直な心,②積善を有徳とする心の財,③善と和を実行する為に必要な知勇兼備の力です。
皆さんが自身の財となる①・②・③を身につける為には,目的を持って修練を積み重ねるしかなく,その日々の修練の成果を明らかにするためには,①今日は正直であったかどうか,②今日は悪より善の行動が上回ったかどうか,③今日は智慧と勇気の鍛錬を怠らなかったかどうか,これらの一つ一つに日々の勝敗表をつけることを日課にして欲しいと思うのです。
平成30年11月12日
塾長 倉田榮喜