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マタイの福音書4章3~4節には「人はパンだけで生きるのではない。神の口からでる一つ一つの言葉で生きる。」と書かれ,多くの人がパン以外の価値を求めて彷徨することがあります。世の中には神の言葉を称して人を謀る不耕貪食の奪人も少なくなく,皆さんはこれらに類する人々に惑わされる事がないように心する必要があるのですが,そもそも,パン以外の価値を求めて彷徨する前に,パン(食糧)を確保できなければ命を繋ぐことはできないという真実を直視することが必要です。

人は,原始古代から太陽と自然の水を恵みとし,陸地の動植物と川海の魚介類等を捕食し田畑を直耕等して,自然の中で自然と共に命を繋いできました。近代物質文明のお金で食糧が贖える貨幣経済の下で,人々の多くは食料の生産や供給の心配をする事なく,お金を重要な価値あるものとして,より多くのお金を得る為に自然環境よりも経済の効率性や利益を優先して都市物質文明を造りました。都市物質文明を造った人々の経済と効率重視の結果として,自然環境は崩壊の危機に瀕しさらに地球資源も枯渇し,食糧を生み出す陸地と川海の汚染が続いています。今のまま経済優先で自然環境の破壊が進めば,人がお金で食糧を贖う事が出来なくなる時も遠い先の事ではないように思えてしまうのです。

このような時を迎えない為には,自然環境を経済の効率性よりも優先する集落型生存文明に転換し,古来の直耕的生活のシステムを再構築する必要があると思うのですが,杞憂でしょうか。

令和元年7月11日

塾長 倉田榮喜