寺田一清先生は,「森信三先生随聞記」で森先生の「家庭教育におけるしつけの三ヶ条」を紹介されています。
(一)祖父母や両親に対して,朝のあいさつの出来る子に。
(二)祖父母や両親に呼ばれたら,「ハイ」と返事のできる子に。
(三)脱いだハキモノを揃え,立ったら椅子を机の下におさめること。
中高生の皆さんで,この「しつけの三ヶ条」が身に付いていない人は,今からでも自意自得して身に付けなくてはなりません。
立志学舎は,「孝」を基本理念の一つとしますが,上記(一)と(二)は,躾の問題に止まらず,子の親に対する向き合い方の根本を所作として具体化するものなのです。
子は,親を乗り越えていくなかで大小様々な葛藤があるのは当然だとしても,心の根底には親に対する「恩」と「感謝の気持ち」を持ち続けなくてはなりません。親や祖父母は生命の源であって,「太虚」と「大孝」に通じるからです。
そして(三)は,自分の体姿を保ち自律の一歩として重要です。
ハキモノを揃え,立ったら椅子を元に戻すことは,自身の心を揃え物事を整理する自律的な所作なのです。この所作も必ず身につけて欲しいと思うのです。
寺田一清先生から,森信三先生の時間・空間・人間(ジンカン)の三間(サンカン)のお話を戴いたことがありますが,(三)は,時を守り, 場を清め,礼を正す,という自分自身の自律を実践して行くために基本的な所作なのです。
平成28年8月31日
塾長 倉田榮喜