Archive: 2016.08

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寺田一清先生は,「森信三先生随聞記」で森先生の「家庭教育におけるしつけの三ヶ条」を紹介されています。

 (一)祖父母や両親に対して,朝のあいさつの出来る子に。

 (二)祖父母や両親に呼ばれたら,「ハイ」と返事のできる子に。

 (三)脱いだハキモノを揃え,立ったら椅子を机の下におさめること。

中高生の皆さんで,この「しつけの三ヶ条」が身に付いていない人は,今からでも自意自得して身に付けなくてはなりません。

立志学舎は,「孝」を基本理念の一つとしますが,上記(一)と(二)は,躾の問題に止まらず,子の親に対する向き合い方の根本を所作として具体化するものなのです。

子は,親を乗り越えていくなかで大小様々な葛藤があるのは当然だとしても,心の根底には親に対する「恩」と「感謝の気持ち」を持ち続けなくてはなりません。親や祖父母は生命の源であって,「太虚」と「大孝」に通じるからです。

そして(三)は,自分の体姿を保ち自律の一歩として重要です。

ハキモノを揃え,立ったら椅子を元に戻すことは,自身の心を揃え物事を整理する自律的な所作なのです。この所作も必ず身につけて欲しいと思うのです。

寺田一清先生から,森信三先生の時間・空間・人間(ジンカン)の三間(サンカン)のお話を戴いたことがありますが,(三)は,時を守り, 場を清め,礼を正す,という自分自身の自律を実践して行くために基本的な所作なのです。

平成28年8月31日

                     塾長 倉田榮喜

 

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熊本城は地震で酷く傷つきましたが,築城400年を超える城姿はなお凛然と保たれ,その城姿に「静の行」としての「兀坐」を見る気が致します。

岡田武彦先生は,心の根本を身体とし,より根本の身学を修めることが,思想上哲学上の重要な要素となると説かれました。

岡田先生は,「物事は動から静が生まれるのではなく,静から動が生まれることを考えるならば、静に力を入れて動が活発になることを求めるのが本来の道筋である」とされ,静の行として兀坐を説かれたのです。

岡田先生の「ヒトは躾で人になる」との本を紹介しました。ヒトが人として支え合う社会で生きるために躾や礼が必要ですが,さらに大切なことは,自分の「自」を活かし「分」を果たして行くための「自律」を持つことが肝要となります。

自律の意味についてよく深めて戴きたいと思いますが,簡単に言えば他からの支配や制約を受けずに,自分で立てた規範に従って行動することです。

例えば,自分で①命を痛めないこと②嘘をつかず正直であること③挨拶を先にすること④責任を他に転嫁しないこと⑤日々の計画と反省を行うこと等の規範を作り,その一つ一つの規範それ自体を目的とし継続して実行することです。

皆さん!兀坐を日々に実践して身を修め,自分で作った規範でそれ自体を目的として実行する自律を持ってください。

                  平成28年8月10日

                     塾長 倉田榮喜