Archive: 2018.12

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平成30年も残すところ3日となり,明年5月からは新元号の新しい時代が始まります。皆さんは,平成最後の本年をどのように振り返り,どのような決意をして,新元号の新しい時代を迎えようとしていますか。

受験を目前にする皆さんは,弱点や不足事項を目前の紙に書き出して日々に確認しながら,惰性に負けることなく自分を律して目的への決意を新たにして欲しいと思います。目的への決意を新たに確認することによって,今年の一年も明年の一年も同じ命の時間の長さだとしても,命の時間の使い方が変わり日々に行う事への取り組み方が変われば新しい自分が始まるのです。

そして,皆さんが生きる人生の生き方としても新年を迎える節目に決意を新たにして新元号の時代を迎えて欲しいと思います。

                                                    1 至誠に悖る勿かりしか

                                                    2 言行に恥ずる勿かりしか

                                                    3 気力に缺くる勿かりしか

                                                    4 努力に憾み勿かりしか

                                                     5 不精に亘る勿かりしか

この五省は,旧海軍兵学校の士官候補生が暗唱したものとされますが,全員による暗唱がリベラズムと柔軟性に欠けるとの批判があったとしても,皆さんは自分自身を自ら律する五省として,目的達成までの今日の一日が,気力と努力に不足することがなかったかどうか等日々に確認して,目的達成に漸進して頂きたいと願っています。

皆さんの良いお年そして素晴らしい新年と目的達成を祈ります。

平成30年12月28日

塾長 倉田榮喜

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飛鳥時代の中心的政治家である聖徳太子(574年~622年)が制定したとされる一七条憲法第一条に,「一に曰く、和を以て貴しとし、忤ふること無きを宗とせよ。人皆党あり。また達る者少なし。是を以て、或いは君父に順わず。また隣里に違う。しかれども、上和らぎ、下睦びて、事を論ふに諧ふときは、事理自づからに通ず。何事か成らざらむ。」とあります。

一七条憲法の「和」は,事理を追究する議論の方法としての和を記したものとされますが,交渉において「和をもって貴し」とすることは,度を超えた「お人よし」と「間抜けぶり」を示す弱点だとする見方もあるようです。

しかし,「天理は萬物の和にあり」とされるとおり,人の集団において「和」はそれ自体が根本的な価値です。したがって,皆さんが掲げる志の中に置く「義」を達成しようとする道程で,その手段は「和」を乱すものであってはならず,他者の命を傷つけるものであってはならないのです。

自己中心的な我心は,「鳴かぬなら殺してしまえホトトギス」となってしまいがちですが,自分の義を達成するために他者を傷つけることは許されず,執るべき手段を誤った時点で義ではなくなるのだと思うのです。お人よしとの批判を甘受しても,目的としての和だけではなく手段としての「和」も根本的価値です。

そして,皆さんは他者を傷つける事がないのと同様に目的のためであれ自らも傷つく事がないように,少しづつ慎重に諦めることなく,其の志に置く義に向かって歩んで欲しいと願っています。

平成30年12月10日

塾長 倉田榮喜