Archive: 2019.04

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孫氏軍争篇第七に「故其疾如風、其徐如林、侵掠如火、難知如陰、不動如山、動如雷霆」(故に其の疾きこと風の如く、其の徐かなること林の如く、侵掠すること火の如く、知りがたきこと陰の如く、動かざること山の如く、動くこと雷霆のごとし)とあり,風林火山の旗印はこの孫氏を部分的に引用したとされます。孫氏にあるとおり,戦いにおける動が勝利に結びつくためには動の前の静が肝心であり,静こそが動の根源エネルギーと言ってよいのです。勝利には静時におけるエネギルーの蓄積が不可欠です。

静には,体の静(体を動かす前の構えの静),技の静(自身が持つ技能の力),心の静(何事にも動じない心)があります。体の構えが整わずして勝利はなく,自身に技の力なくして勝利はならず,物事に惑わされない不動の心がないと宿業や世間での労苦困難に耐え切れずに人生の荒波に飲みこまれてしまいます。体の静(構えの静)を身につける為には常の立腰が重要であり,技能の力を身につける為には早い時期からの修練が必要です。そして,不動の心を自分のものにする為には兀座による内省と揺るぎない指針や判断基準を持つ事が肝心であり,この為には師を求め先達や古書からも学ぶことが重要になります。

二宮尊徳翁は成田山に参籠して,不動尊の背中の火焔・片方の剣・片方の縄から不動心を得て苦境を乗り切ったとされます。皆さんも,血脈の宿業(背中の火焔)に耐え世間の非難・風評(身体を縛る縄)に捉われない心の剣を持って(弱い心を断ち切る剣),宿業や人生の荒波に負けず自分が立てる志を実現してください。

平成31年4月11日

塾長 倉田榮喜