Archive: 2019.09

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日本人の平均寿命は,文明の利便性と医学の進歩で明治初期の頃と比べると大幅に延び高齢化が進む一方で,一人一人の生命力や生存能力は大気汚染等の環境汚染や有害物質の影響もあってか弱くなり続けています。日本の人口は2015年時点で1億2700万人と数えられていましたが,100年も経たないうちに5000万人程度に減少すると予測されるのです。

この人口減少に対して,利益を最優先する資本主義は,都市機能の維持と労働人口や消費者人口を確保する為に,地方の過疎地を切り棄て都市に人口を集中させようとするのだと思いますが,大量の消費を必要とする現在の都市と資本主義に未来があるとは思えません。

日本の産業別就業者数は2018年時で6664万とされ,そのうち第一次産業の従事者は231万人で全体の3.5%(独立行政法人労働政策研究・研修機構),そのうちの農林業の就労者は204万人に過ぎません。他方で世界の人口は90億人を超えようとし,生産環境の悪化で人口増加に見合う食糧生産が出来ず食糧の輸入も途絶えてお金で食べ物を買えなくなった場合に,暴力で食糧を簒奪しても一時的にすぎず,結局,日本の食糧自給率が40%未満では多くの日本人は餓死の危機に直面するのです。

この危機を生き残る為には食料は自分で確保するしかなく,危機を覚知する人は,田畑が残る地方に移住して半農・半職の生活方式に転換するか,国の政策として第一次産業の就労者数を自給自足が可能な程に増大させて,利益優先の資本主義から農を本にする国に変えるしかないと思いますが,どう実現していくかが問題です。

令和元年9月30日

塾長 倉田榮喜

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エネルギーが継続的に供給されてこそ都市は機能しますが,2017年時点で地球のエネルギー資源埋蔵量を年間生産量で割ると,石油は50年,天然ガスは53年,石炭は134年で尽き,50年後にエネルギーが都市に供給される見込は少ないのです。原子力発電は,使用済み核燃料棒の処分方法がなく,大事故の際には放射性物質や放射線の拡散を抑制出来ない状況にあります。原子力発電の使用済み核燃料棒の処分方法が見つかり放射線が生命と環境に対して無害になる対策が発見されるまで,原子力発電は未完の文明装置「死滅への文明装置」(脱原発・再生文化論)であることを覚悟しなければなりません。

現在の文明都市は,エネルギーや食糧が供給されなくなると機能不全となり,さらには想定外の大地震が起こると経済効率優先で造られた文明施設自体が簡単に死の装置に転じてしまいます。都市に住む人々は,今後に起こる大事に備えて逃げる方法と避難先を準備しておかなければならないのですが,出来るだけ早く都市生活に見切りをつけて,食糧もエネルギーも自給自足できる場所を探しておくべき時が目前に来ていると思います。

未来を担う皆さんには,経済至上主義で造られた都市生活で,命の時間と共に体や頭を資本に酷使されるのではなく,自分の命の時間と身体は祖父母の故郷で,自然と共に生きることが出来る生活空間と生活文化を創造することに使って頂きたいと思います。皆さんの意思と力が結集して,自給自足の地域共生型集落が再生創造されてこそ,未来に命を繋ぐことが出来ると思うからです。

令和元年9月11日

 塾長 倉田榮喜