Archive: 2019.12

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明治大正から続いた昭和は,昭和20年迄の異常悲惨な戦争の時代を経て,同年8月15日の敗戦から昭和64年迄は,戦後復興と経済成長を掲げ田畑を工場とし農業国から工業国へと変貌して,国民所得は伸び続け「もはや戦後ではない」との意識を持つ中間層が形成され,戦後生まれの団塊世代も結婚して独立した家を持つことが可能な時代でした。

昭和後半の高度経済成長を引き継いだ平成の30年間は,戦争を経験しない平和な時代でしたが,資本主義の限界や環境・食糧・エネルギーの課題が顕在化する一方で,政治は平成元年からの10年間,環境・食糧・エネルギーの問題を黙視して政治改革をテーマとし,選挙制度は中選挙区制度から小選挙区制度に変更され,結果として強固な官邸政権が出現しましたが,温暖化等自然環境の悪化による風雨災害が頻発し,高齢化や少子化が進み右肩上がりの経済成長は神話となり,戦後の復興と経済成長を支えた資本主義は利益優先の市場経済下で限りなく利子を追及して貧富の差を拡大させ,穏健な意識を持つことを可能にした中間層は小さくなっています。

皆さんはその困難な課題を引き継いだ令和の時代を生きなければなりませんが,大変さに翻弄されることなく,環境・食糧・エネルギーを自分の課題とし,資本主義から生じる貧富の格差による不平等や自由の侵害を阻止できる共生社会を創築する独立自尊の集団に成って頂き,皆さんの力で令和が希望を拓く時代となって欲しいと祈り,思考から行動の年にしたいと思います。

令和元年12月27日 

塾長 倉田榮喜

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人は,二足歩行になって両手を自由に使うことで,食糧を得る為の道具を使うようになり,頭脳は次々に文明の利器を発明して生活の進化は続いていますが,現代の人は縄文弥生の人よりも自立していると言えるのでしょうか。

大分県中津市の福沢諭吉旧居・福沢記念館には先生の「独立自尊是修身」の額が掲げてあり,後に慶應義塾で編まれた「修身要領」には「独立自尊」とは,「心身の独立を全うし、自ら其身を尊重して,人たる品位を辱めざるもの、之を独立自尊の人と云う。」と定義され,個人の独立自尊,家族の独立自尊,社会人の独立自尊,国民の独立自尊,国家の独立自尊が条文として記されています。

個人として独立自尊である為に,第一は精神的に自立している事,精神的な自立にはまず稚心を去り親の保護や与えられた境遇から自立する事,第二に経済的に自立する事,他者からの経済的支援を受けることなく生活できる収入を稼ぐ事,第三に権力からも自立している事が必要だと思っていますが,権力は他者に影響を与えて人を動かす力を持っていますので,権力に影響されず時に権力に抗する力を持つ事は容易な事ではありません。

独立自尊は簡単なことではありませんが,福沢先生に「独立自尊是修身」とあるように,まず「身を修める」事が必要で,身を修める為には日々に修学と鍛錬が必須です。日々の修学と鍛錬を継続する為には自身を律する掟を作りこの掟で自らを律し,日々に自省し明日への決意を固めて,兀座による内察と立腰の姿勢を以て,独立自尊の人と成るように自身の時間を使って欲しいと思います。

令和元年12月11日

塾長 倉田榮喜