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H29.6.9

資本主義は投資した資本が利子を産むことが不可欠ですから,資本は利子を生む「コモンズ」を求めて,より遠くにより早くにより効率的に利益を得ようとして他の資本と競争します。

帝国主義下での植民地獲得競争は,未開の土地と資源を獲得する侵略戦争を引き起こしましたが,未開の土地や資源からの利益が限界になると,資本は内部資源たる労働費を削減し遂には空間や時間さえも利益の「コモンズ」とするシステムを創出し,未来の資源からさえも利益を得ようとするのです。

地球は万物共生の自然の摂理の下で生命が循環されており,人類は相互扶助・相関連帯の地球の中でその命が保たれています。

しかし,資本主義が際限なく資源の獲得と開発を継続すれば,やがて地球の有限の「コモンズ」を食い尽し,地球は絶滅への時を刻み続けることになるのではないかと危惧されるのです。

これを防止するには資本主義の制限とルールが必用であり,資本家には客観的な自律が要求されなくてはならないのです。

資本主義が国家を越えて共通ルールを作れないとすれば,人類は相互扶助という集団の本質に立ち返って,利子を産まない資本を供出する等,将来の世代に地球の資源と環境を引き渡すことを前提とする循環のシステムを考えなくてはなりません。

資本が利子を得る為に個人の尊厳をないがしろにし,命の住処である万物共生の地球が「絶滅誌」を刻むことがあってはならず,人にはこれを阻止する生き方が求められるのです。

                              平成29年6月9日

                     塾長 倉田榮喜