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文明のソフト部分である思想・統治・経済・市場等の制度が整えられるなか,文明のハード部分を象徴する人工建造物の集積である都市は,経済至上主義を是とする統治制度の下で人と物を限りなく集めて資源を消費し,そのエネルギー消費は地球資源を枯渇させ,その排出は地球の温暖化と大気汚染等で自然環境を破壊しています。現在の文明を象徴する都市はこのまま存続できるのでしょうか。

問題の一つは,現在の都市は大地震等の自然災害で壊滅的な被害を受けるとされている事です。文明と科学の進展が地震の発生と災害を予防する事が出来たとしても,まずは,避難と生存に必要な安全な地域の整備を実施する事が先決です。そして,その際には被災した都市の復興は断念して,自然と共にあって命を繋ぐ事ができる新しい生存地域を創造したがよいと思うのです。

問題の二つは,日本は,エネルギーの9割と大部分の地下資源ばかりか食糧の6割(カロリーペース自給率37%),木材の8割,水産物の4割を輸入する海外依存の国家である事です。地球の資源が枯渇し,エネルギーや食糧が輸入できなくなったら都市は機能しません。この危機を避ける為には,エネルギーや必要な資源は国内の資源で代替できるようにする事,生存に必要な食糧と水は国として自給体制を構築する事が肝要なのですが,それが出来なければ,都市に住む人々は,水と米麦等の食糧は生存の効用においてダイヤモンドよりも必要な物である事を自覚して,食糧の供給が途絶えた場合にどのように対応するのか,国家に任せずに自分で出来る備えと覚悟が必要です。

令和元年8月9日

 塾長 倉田榮喜