二宮尊徳翁の一日一言(寺田一清編)1月26日の「唯我独尊」の項には次のように書かれています。
宇宙万物は悉く唯我独尊なり。
釈迦も唯我独尊なり。
孔子も唯我独尊なり。
我も唯我独尊なり。
禽獣虫魚草木もみな唯我独尊なり。
これには,「万物は独立自尊にして、かつ相互扶助であり、個々自主にして相関連帯である」との注が付されています。万物の個命(ひとつひとつの命)は,存在している自体を尊ぶ必要があり自体の存在を尊ぶことなくして,万物の一種である人も自分の自を発揮しその分を果たすことはできないのです。
この「自らを尊ぶ」について,皆さんには我欲に基づく自己中心的な行動を認めるという意味ではなく,自らに客観的自律を課すことであると考えて戴きたいと思っています。
人は,自然界で万物の一種として相関連帯ともいうべき相互扶助の中で生きるのですから,自然界で唯一の自命(唯我)を尊ぶ(独尊)のと同じように,他命も尊ぶ(他尊)必要があるのが自然ですし,自然の中で自命を生かし他命も尊ぶことで自分の自を活かしその分を果たしてこそ「唯我独尊」なのだと思うところです。
故に,皆さんに学んで戴きたい自律他尊の生き方は,相関連帯と相互扶助という万物共生の自然界で生きる基本といえるのです。
平成29年2月28日
塾長 倉田榮喜