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三間(サンカン)は,時間を守る,場(空間)を守る(清浄にする),人と人との礼を守る,との生き方の指針とされています。

ところで,時間は,過去から現在へ現在から未来へと流転し,過去の時間の累積は現在の空間と人間の環境基盤を形成し,現在の環境基盤は未来の空間と人間を制約することになります。現在における地球環境の危機と地球資源の枯渇は,限りなき欲望に従った人間が残している負荷ですが,皆さんに,次世代にどのような時間と空間を残すかという事を自問して欲しいのです。

地球資源の濫用を防止し,資源の濫用による都市の利便さを放棄して,自給生活で生き抜く覚悟が必要な位の危機的環境ですが,それでも現代の指導者達は,成長と利得の旗を掲げ続けています。

前世代が作り上げた時間と空間が,現代の時間と空間を制約しているのと同じように,皆さんの個々の命も祖父母における積業を受け継いでいると自覚する必要があります。不動明王の背中の火焔は父祖代々の宿業の火焔であり,この業火に耐えながら,人類が残している空間の積業(環境破壊と資源の枯渇)に解決策を見出して,次世代に万物が生き残れる環境と人と人との生き方の作法を伝えなければならないのです。

積業の火焔の清算に努め世間の縄縛の批判にも耐えて,それでもなお,現世代は,人類と万物が自然の摂理の下で生き続けることができる環境と仕組を作り上げる必要があり,その仕組みが見つからなければ,地球と人類の未来は実に悲観的だと思わざるを得ない状況なのです。

令和元年6月10日 

塾長 倉田榮喜