Category: コラム

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人世に戦争も無く災害も無い平和で平穏な時代は,権力に抗する力も人の動物的能力も弱くなりますが,このような平時では政府や地方自治体による「公助」を期待することが可能です。

しかし,大地震等で政府や行政機能が壊滅的状況になってしまった乱時には, 行政による公助は機能しないことを覚悟すべきです。乱時で行政が機能しない場合には,自らの命は自らが守り抜くという「自助」の力で生き抜くしかないのです。

そして,一人一人が自助の力を発揮して大災害等から生き抜く為には,生存の砦として家族の団結と家族での準備が不可欠です。家族の団結力(家族力)で,災害の危険度に応じた避難の方法と平時に戻るまでの間如何にして生き抜くかの対策を決めて,それを実行する為の準備をしておくことが必要となります。

家族で必要な準備は,①現居住地における災害発生の危険度を調べて協議しておく,②災害発生時の家族間の連絡手段と避難経路の確認及び避難場所での非常食を用意しておく,③大災害対応の避難場所として二次居住地を用意して3ヶ月間程の食糧を備蓄しておく,等が考えられますがその為の資力や体力も必要となります。

資力を含めて大災害対応の準備が家族だけで手にあまるとすれば,血縁(親戚)や人縁(共にできる仲間)の絆による「互助」システムを形成しての準備,さらには集落や地域による地縁共同体の「共助」システムを構築して避難対策を纏めておく等,皆さんにも大災害を生き抜く為の智慧を絞っていて欲しいのです。

平成30年8月10日

塾長 倉田榮喜

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ヒトは,躾を身に付けて互いに支え合うことで人となり,人は,集団での礼を弁えて人間となり,人間は,集団で相関連帯の行動をとることで自然界の淘汰を生き残ってきました。

家族は,自然界における人間集団の核となる集まりで,家族の関係には,縦軸としての親子関係,横軸としての夫婦関係,斜軸としての兄弟姉妹関係があります。

家族の縦軸である親子関係に父子関係と母子関係があり,親の子に対する「慈」と「愛」,子の親に対する「孝」と「敬」を絆として結ばれる血脈関係で切ることが出来ない特別な関係です。

家族の横軸である夫婦関係は,「愛情」と「共通目標」の絆で結ばれ,互いが持つ欠点を補完しながら子を育成し,家族が父祖母から引き継ぐ「業」に共に向き合う関係ですが,解消を可能とする関係でもあり相互の許容が必要とされる関係です。

斜軸となる兄弟姉妹関係は,横軸である夫婦関係の鎹なって父母の絆を強固にし,愛情と互助の絆を共有して成長し,家族の「業」も承継する関係にあります。

家族は,血脈と強い絆で結ばれる人間集団の核であり,自然界と人間社会を生き抜く生活共同体で先祖の祭祀を共にする運命共同体ですから,自由になりたいと言って家族から独立して孤立することは,自由を得ることではなく破滅への放縦にすぎません。

皆さんには,生活の拠点である家族の意義と役割を確認し自負を持って,家族の一員として自分の自を活かしその分を果たしていく使命があるのだと明らめて欲しいのです。

平成30年8月31日

塾長 倉田榮喜

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人は,一人では人生の悪路や逆境に倒れてしまうことがありますが,何人かで相互に支えあえば一人でいるよりも倒れません。

人が自然の災害や人世の逆境を耐え抜く為には,困難な時や辛い時に励まして支えてくれる人があったほうがより強いのです。

家族は,災害や逆境の困難な時に励まし支えてくれる絆人の集まりであり,家族を大切にして生きる事は人生の基本です。

家族は,血脈と強固な絆で結ばれ運命を共にする生活共同体で,縦軸の親子関係,横軸の夫婦関係,斜軸の兄弟姉妹関係それぞれに互いに助け合うことを根底におく人生の砦といえるのです。

家族の中で,皆さんは,父母とも兄弟姉妹とも血脈で結ばれる特別な関係であり絶縁などできない関係です。

皆さんが自らを律し稚心を去り自立できるようになっても,家族との絶縁を計る事は祖先と人生の砦を捨てるようなものです。

家族の環境は千差万別で,経済的に自由な家族でも進学することさえ困難な家族でも,皆さんはその環境下から逃避することなく,家族が抱える問題を担う覚悟をする必要があります。

家族や親の束縛を不自由と考えるのは誤りで,自由はその束縛の中で得られてこそ本物であり,皆さんは,祖父母や両親の慈愛に報恩の気持ちと行為とで応える責務があるのです。

家族の誰かを裁いたりする事があってはならず(非裁),家族の誰かを責めたりする事があってならず(非責),家族の行為は宥恕が前提で(宥恕),社会への責任も共同して贖う(連帯)という家族力を持つ一家を,皆さんに築いて欲しいと思います。

 平成30年9月11日

塾長 倉田榮喜

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皆さんが持って生まれた自分の「其の自」を活かし「其の分」を「二度とない人生」で結実させる為には,「稚心を去り」自らを「律」し「志」を立てることが肝心です。

自分の「命」が持っている「時間」のことであるならば,皆さんは,「命の時間」を何に使うのか考えて志を立てなければ,時間は矢のように過ぎ去ってしまいます。

皆さんが命の時間を自分が立てた志の為に使うことは当然として,家族の為に時間を使う事も強い絆で結ばれる者の責任です。

皆さんが立てた志を果たすためには,自身の律を日々に実践しながら家族の「律」も守っていく必要があります。

家族の律は先祖からの「家訓」でもあり,家族の律と個人の律との「調和」が必要で,家族の調和の中で家族の一人一人が掲げる「志」を明示して家族の相互で支え合うことができるのです。

そして,皆さんには,自分や家族の為だけではなく生まれた故郷や国の為にも其の命の時間を使って頂きたいと思うのです。

自分や家族の為だけではなく,故郷や国の為にも命の時間を使う為には,皆さんが立てた「志」の中に「義」を置く必要があると思います。

志を立て,何の為であれば他の為に自分の命の時間を使ってもよいと決意できるのか,皆さんの「志」の中に「義」を置くことで,自分の命の時間を使う意義が明確になり,皆さんの二度とない人生を生きる行動の指針になるのだと思っています。

         平成30年10月1日

塾長 倉田榮喜

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明治憲法下の教育勅語は,「我ガ臣民、克ク忠ニ克ク孝ニ、億兆心ヲ一ニシテ、世々厥ノ美ヲ済セルハ、此レ我ガ国体ノ精華ニシテ、教育の淵源、又実ニ此処ニ存ス」「爾臣民、父母ニ孝ニ兄弟ニ友ニ、夫婦相和シ、朋友相信ジ、恭倹己レヲ持シ、博愛衆ニ及ボシ、学ヲ治メ、業ヲ習ヒ、以テ知能を啓発シ、徳器ヲ成就シ、進ンデ公益ヲ広メ、世務ヲ開キ、常ニ國憲ヲ重ンジ、國法に遵ヒ、一旦緩急アレバ、義勇公ニ奉ジ、以テ天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼スベシ」と定め,臣民は「義勇」を「公ニ奉ジ」国と家族を守るために幾百万人もの人々が戦争で自分の命を使いました。

現行憲法は,天皇主権から国民主権となり,価値の中核は「個人の尊厳」とされていますが,現行憲法下において国民の求心力たりうる「国民の義」を考えることはできないのでしょうか。

「種の尊厳」を価値の根源とし,皆さんの命の源を遡る「孝」を根源の徳と位置付けて,国民の求心力となりうる「国民の義」として自然と天皇に対する「敬」を置いたらと考えるところです。

天皇家が八百万の自然を敬い国の伝統と文化を承継している事,天皇が国民統合の象徴となっている事からして,自然を敬い先祖を祀る意である「敬」は,自然と祖先を敬し国民統合の求心力としての「国民の義」にならないかと思うのです。自然と天皇に対する「敬」を国民の義とすることで,「国を愛する心」も具体的な形になるのではないかと思えるのです。

これは,国民の求心力となりえる「国民の義」は何かという問題ですから,皆さんもこの問題を頭において欲しいと思うのです。

平成30年10月11日

塾長 倉田榮喜